ーーそもそもなぜ王国は臣民たちに納税を強いたのか?これはあまり問われることのない問いである。一見したところ答えは自明にみえるからだ。政府が税を要求するのは民衆の金銭を手に入れたいからに決まっている。だがもしアダム・スミス…
デヴィッド・グレーバーの『負債論 貨幣と暴力の5000年』の中に興味深い記述があった。 ーーイロコイ諸部族連邦の主要な経済制度がロングハウスであって、そこに物財のほとんどが貯蔵されては女性たちの評議会がそれらを分配してい…
借りたものは返さなければならないー。これはその通りである。しかしそれはあくまで道徳上でのことである。少なくともそれは経済的取引にまで当てはめるべきではない。 なぜなら仮にすべての借金ーすなわち投資ーが必ず返済(回収)され…
こういうと反発する人もいるかもしれないが、かつて世界を席巻した植民地主義というのは、ビジネスのひとつのスタイルであった。 それはライバル会社に資源を奪われないよう鉱山とその周辺の労働力を軍事力でもって独占するやりかたであ…
貨幣の害悪には様々あるが、なかでも最大のそれは経済活動を縛る足かせとなることだろう。 貨幣制度の元では、いくら生産力があっても貨幣がないと生産が不可能になるという馬鹿げたことが生じるのだから‥。 であれば貨幣を介さず、単…
よくお金は苦労の対価であるといわれる。 しかし、もしそうなのであれば、人一倍苦労をしている困窮者は人一倍お金がもらえて当然だろう。 貧困なのは怠け者だからであると結論づけるのは短絡というものだ。貧困というのはたんに怠け癖…
「食事をおごる」という行為からもわかるように、人は「贈与すること」で相手の優位に立とうとすることがある。もちろん相手はその贈与に見合うだけの返礼をしない限り、贈与者に対して劣位に立つことになる。これはポトラッチの名でも知…
ベーシックインカムの財源がないという。だが、そういう一方で、国民は今現在、どうにかこうにか生きているではないか? それは国民全員に分配するだけのお金がこの社会にはすでにあるということだ。 したがって問題はその「すでにそこ…
生産物が増えれば社会はその分豊かになる。これは当然だ。 しかしそこにお金というものが介在すると妙なことになる。新しい生産物の量に比例してお金の量が増えないとその生産物が誰にも買えないという現象が起こるのだ。 さもなければ…