裁量労働制をめぐる議論が紛糾している。とくにいわゆる「左側」の人たちからの攻撃が目立っている。 しかしその論法にはかなり違和感を覚える。そうした議論はすべて市場原理を是認した上での議論だからだ。 そもそも市場原理の上で労…
落語家の桂春蝶のツイッターでの発言をきっかけに日本の貧困問題に再び注目が集まっている。同氏への直接的な論評は控えるがこの件に関して私が言いたいのは、日本の貧困問題は世界でも特殊なケースであるということだ。何が特殊なのか…
一度交わした約束はいかなる権力者をも縛ることになる。その意味でブロックチェーンが「誰にも覆せない記録」を保持することは、将来AIが暴走することに対する防止策となりうるかもしれない。 しかしすでに暴走している「AI」がある…
「貸し借りは友を失う」という標語とともに貨幣経済は始まった。 負債を将来に残さない現金による即時決済こそが友人関係を壊さない妙案というわけだ。 もっともである。 しかしそれと同時に貨幣の使用は友情を結ぶことを不可能にも…
新大陸の征服者たちが原住民を搾取し、奴隷化したのは自らが借金漬けだったからだといわれる。 征服者たち自身がすでに強欲な金貸しの奴隷だったということだ。 そこにあったのはロンドンの投資家を起点に張り巡らされた世界的な負債の…
人間にとって何もしないでいることほど難しいことはない。 もしそうなったらただでもいいから働かせてくれと泣きついてくる人も出てくるだろう。 しかし、今や少数の人間とAIロボットがあれば必要最低限の物資は生産できるようになっ…
負債はこの世界につきものだ。負債をなくすことはできない。そもそも社会を成り立たせているのは負債なのだ。 一方、負債の力学は複雑系である。いつなんどき、どこにその矛先が向くかは誰にも予想できない。要するにそれは本人の責任と…
世界の宗教的教えはすべて負債という観念を基盤としている。あなたは神に対して負債を負っている。その負債をこの世で返済しなければならない、というわけだ。それがカルマや原罪といった言葉の真の意味である。 ただし例外がひとつだけ…
金を貸してやるからこれで博打を打ってこい。勝ったら分け前を寄越せ。ただし負けても金は返してもらうぞ。これが資本主義の本質的な光景だ。そこにあるのは「働かざるもの食うべからず」というより「博打を打たないものは奴隷になるか、…