「御陰さま」思想とベーシックインカム

よくお金は苦労の対価であるといわれる。そうであれば、人一倍苦労をしている困窮者は人一倍お金がもらえて当然であろう。貧困なのは怠け者だからであると結論づけるのは短絡というものである。貧困というのはたんに怠け癖ばかりからくるものではない。貧困というのはそんな単純なものではない。
家族、親戚、さらに自分ではどうしようもない病気や遺伝的要因などさまざまなものが複雑に絡んでいるのだ。そうした環境の歪みが特定の人物に集中した結果が困窮なのだ。社会は複雑系である。誰もが単純な人生を送るとは限らないことに思い至るべきだ。
今現在、それなりに正業についている人は、それが自分の努力以外の要因のお陰でもあることに気づくべきだ。それが日本人が古来抱いてきた「御陰さま」という考え方である。生活保護を廃止しろと叫ぶのは、この御陰さまという知恵を理解しない浅はかな人間の物言いにすぎない。
彼らはいつか自分以外の要因で自らが困窮に陥った時はじめて、御陰さまという言葉の奥深さに思い至るのであろう。ちなみに不正受給はこれとは無関係である。それはたんに制度上の欠陥である。そうした不正受給を防ぐためにもベーシックインカムを導入すべしと主張しているのだ。

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