企業による信用創造の矛盾を解消するベーシックインカム

お金を世の中に供給する経路が企業による信用創造に限定されているのは、今の経済のバグである(ここでは国や個人の住宅ローンなどによる信用創造は考えない)。

なぜなら消費者に購買力がなければ企業は投資するためのお金を借りない(信用創造しない)し企業がお金を借りて労働者を雇わなければ、労働者でもある消費者は購買力を得ることができないからだ。

ここにあるのは、はじめに消費者に購買力がなければ企業活動ができないし、企業活動ができなければ購買力も生まれないという致命的な仕様ミスであり、設計上のバグである。ならばそのバグを修正するにはどうすればよいか?

最初に購買力が不可欠であるならその購買力をあらかじめ確保してやればよい。すなわちベーシックインカムである。

ベーシックインカムは購買力を消費者に直接注入することで、企業によるそれとは別のいわば消費者起点の信用創造の窓口を新たに作り出すことができる。最初に購買力がなければ何も始まらないというこの経済が孕む根本的な矛盾もそれによって解決されるであろう。

さらにその先のビジョンとしてブロックチェーンを利用した通貨(法定通貨とは別の民間トークン)発行権を国民一人ひとりに付与することも考えられる。その時には、ベーシックインカムによって政府に生殺与奪の権を握られるなどというたわけた反論は永遠に息を潜めるであろう。