アドマネー推進プロジェクトARCH 創設宣言文

2000年代のはじめ、当時山形市に住んでいた私が主導してはじめた地域通貨「アドマネー」。その際、起草した宣言文を魚拓のためここに転載しておきます。

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円やドルなどの法定通貨にたよらず独自の通貨単位をもとにモノやサービスの交換を実現しようとする地域通貨ーー。いまこの地域通貨が人と人とのきずなをとりもどし、経済的に疲弊した地域を再生するツールとして注目をあつめています。

しかしその一方で、「地域通貨はしょせんボランティアの道具、自分たちには無縁なもの」というさめた声も、とりわけ零細中小事業主のあいだにはすくなくありません。グローバル経済のただなかで食うや食われるやのきびしい競争をしいられているかれらにとって、ひとの善意にのみささえられているかにもみえる地域通貨は、いわば「きれいごと」にすぎず、じぶんたちの世界とは無縁なものとかんじられるのでしょう。

けれど、かりに従来の地域通貨がひとの善意にのみもとづくものであるとしたならば、それとは逆に人間がもつ自然な欲望にもとづきながら、しかもそれでもなお社会全体の利益となるようなーーそんな地域通貨をつくることはできないものなのでしょうか? じつはわたしたちがこのアドマネーARCHをつくったのはまさにそうした思いからでした。なぜなら、わたしたちもまたそれぞれSOHO、事業主として日々、ビジネスの世界で熾烈な競争をしいられているからです。

アドマネーARCHはその名のとおり、広告媒体としても利用できる地域通貨です。さいしょの振り出し人をふくめつかう人は全員、紙面に自社の広告を書きこむことができます。すなわち、この地域通貨はつかう人の広告メッセージをのせて、あたかも口コミがひろがるようにコミュニティ内を循環していくのです。

つまりARCHは、自社を宣伝したい、宣伝して利益をえたい、というどちらかといえば利己的な動機にもとづいて流通する地域通貨であり、従来のように善意を動機に流通する地域通貨とはちょっとことなるタイプの地域通貨なのです。しかも利己的な動機にもとづきながら、それでもなおいっぱんの地域通貨と同様、円やドルにかわるオルタナティブな貨幣として域内取引の促進やコミュニティの活性化にもやくだちます。

地域通貨は一部の篤志家によるボランティアごっこにとどまるべきものではないとわたしたちは考えています。それは、世界中でいま問題になっている市場経済の暴走をくいとめ、またそこから生じる価格破壊や倒産といった壊滅的な影響から、事業主であるわたしたち自身とそこで働く従業員を守るために、残された数少ない対抗手段のひとつでもあるのです。

まずは、日々の取引のうちのほんの一部をこのアドマネーに置き換えるようちょっとだけ努力してみてください。それがじつは取引者同士お互いのメリットになるということは、一度使ってみればすぐ理解できるはずです。そして、そうした草の根から始まった小さなネットワークが地域を越え、国境を越え、そしていつか地球全体をひとつの網の目のようにつなぐ時ーーーーもしもそんな時が来るとすればの話ですがーーその時わたしたちが目にするのは、きっといまより人間味あふれたもうひとつの社会の姿であることでしょう。

アドマネー推進プロジェクトARCH

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