BIとポスト資本主義社会との関係

ここで、次回からテーマとして取り上げるポスト資本主義社会について、簡単に予習をしておきましょう。

まず押さえておくべき点は、ベーシックインカム(BI)社会とポスト資本主義社会は同じものではないということです。BI社会は、ポスト資本主義社会そのものではなく、そこへ移行するための過渡的な社会にすぎません。言い換えれば、BI社会とは、ポスト資本主義社会という新しい世界へ向かうための“通路”のようなものです。

そして私の見解では、この通路はほぼ唯一のものです。BIを経由せず、いきなりポスト資本主義社会へ移行することが絶対に不可能とは言いませんが、現実的には非常に難しいでしょう。仮に無理に進めた場合、さまざまな混乱や歪みが生じる可能性もあります。

また、ポスト資本主義社会に移行した後もBIという制度が残るかどうかはわかりません。残るかもしれませんし、残らないかもしれません。なぜなら、BIの目的は、現状の社会的・経済的問題の解決であり、BIの導入そのものではないからです。川を渡るためには船が必要ですが、渡り終えれば不要になるのと同じです。渡り終えた後も船を担いで歩き続けるのは馬鹿げています。

社会は常に変化します。変化を拒み、ひとつの制度を未来永劫、維持しようとすれば、新たな抑圧を生みかねません。もしBI社会をユートピアや至福千年王国のような、固定された人類の到達点として捉えてしまうなら、それはBIの本質を取り違えた誤った見方というものです。

そうした理由から、私は「ベーシックインカム社会」という特定の社会体制に固執する考え方には賛同しません。たしかに私はBIの熱心な推進論者です。けれど、それを神格化したり、目的化したりすべきではありません。もし社会的にそのような風潮が強まるようであれば、私は自らの賛成派としての立場を脇に置いてでもそれに反対するつもりです。

さて、ではそろそろ次の議論に進みましょう。

ポスト資本主義社会とは一体どのような社会なのでしょうか?

次回から、その具体像をさらに掘り下げて考察していきたいと思います。

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