セーフティネットは「弱者のため」だけのものではない

ベーシックインカムや生活保護といったセーフティネットについては、しばしば「弱者を助ける制度」「困っている人のためのもの」という前提で議論されています。
しかし、この理解は本質を外しています。

セーフティネットは、特定の誰かのための制度ではありません。
それは、すべての人が人生を生き抜くために必要な社会的インフラです。

人は誰でも「弱者」になりうる

「努力すれば貧困から脱却できる」「セーフティネットに頼るのは甘えだ」
こうした言葉は、往々にして今うまくいっている人の立場から発せられます。

しかし、この世界は諸行無常です。
栄枯盛衰は、世の習いです。

人生100年時代と言われる現代において、若い頃の成功が老後まで保証されるとは限りません。
病気や事故、家族の事情、産業構造の変化、技術革新——それらは、誰の人生にも襲いかかります。

「今は大丈夫」という状態は、永久に続くものではないのです。

成功は能力よりも「時代」に左右される

私たちはしばしば、成功を個人の能力や努力の結果だと考えがちです。
しかし現実には、成功の多くはむしろ時代との相性によって左右されます。

パソコンの普及によって消えた仕事は数え切れません。
そして現在はAIの急速な進展によって、同じことが別の形で起ころうとしています。

今の時代に評価されている能力や仕事が、20年後、30年後も同じ価値を持ち続ける保証はありません。
たまたま自分の関心や能力が、その時代の需要と噛み合っただけ——そうした偶然の要素を、私たちは過小評価しがちです。

人生100年時代を転ばずに走り続けられる人はいない

人生100年時代といわれます。しかしその100年を一度も転ばずに走り切れる人は何人いるでしょうか。残念ながら大多数の人はその幸運な人たちの中に入ることはできません。

重要なのは、転ばないことではなく、転んだあとに立ち上がれることです。
そのために必要なのが、セーフティネットです。

セーフティネットとは、「負けた人のための救済」ではありません。
それは、誰もが再挑戦できる状態を保つための、社会の安全装置です。

なぜベーシックインカムなのか?

では、そのセーフティネットは、どうあるべきなのでしょうか。

生活保護はそのための重要な制度ですが、申請上のハードルの高さやスティグマ、再起の難しさといった根本的な問題を抱えています。

そこで注目されるのが、ベーシックインカムです。

ベーシックインカムは、
・誰であっても
・無条件で
・定期的に
生活の基盤となる所得を保障する制度です。

それは「弱者を選別して助ける制度」ではありません。
すべての人が、いつでも転びうるという前提に立ったある種の保険制度です。

ベーシックインカムは社会全体の保険である

ベーシックインカムは、特定の誰かのための施しではありません。
それは、社会全体でリスクを引き受ける仕組みです。

今、成功している人にとっても、
今、困っていない人にとっても、
それは将来の自分を支える安心の基盤になります。

栄枯盛衰、諸行無常が避けられない以上、
転んでも人生を立て直せる土台を、あらかじめ社会に組み込んでおく必要があります。

セーフティネットは「弱者のため」だけのものではありません。
それは、誰もが安心して人生を引き受けるために不可欠な最低条件なのです。
そして、それを最も合理的な仕組みとして形にしたのが、ベーシックインカムなのです。

広告


もう書けないとは言わせない!
三行から組み立てる超ロジカル文章術