資本主義の大転換がやってくる
まもなく資本主義の大転換がやってくるでしょう。
なぜそういえるのでしょうか?
以下、理由を説明します。
資本主義で大切な生産要素は土地、労働、資本(貨幣)であるとされています。
それが今、土地はメタバースによって、労働はAIロボットによって、そして資本としての貨幣はデジタルマネーによって代替、もしくは駆逐されようとしています。
もう少し詳しくみていきましょう。
まず土地についてです。
土地は有限であり、そのためたとえばいくらお金があり、工場を建てたいと思ってもこれまでは地理的物理的な限界がありました。しかしメタバースが登場した現在、その土地(メタバース空間)は原則として無限に拡張可能です。したがって、その希少性は限りなく低下するだけでなく、その使用料(土地代)も供給が独占、または寡占されない限り、際限なく下がっていくことでしょう。
もちろん、メタバース内では物理的な生産ができない以上、現実の工場との代替は不可能ですが、小売業や事務作業、さらにクリエイティブワークなどの知的労働に関しては従来のオフィスと十分代替可能であり、つまるところ現実のオフィスは不要ということになります。そしてもしそうであるなら現実の土地需要にも少なからぬ影響を与えることになるでしょう。
次は労働についてです。
AIとロボットの進化は近年めざましいものがあります。またそれによって仕事の現場からは今後、人間がますます駆逐されていくであろうと予測されています。
AIロボットが人間の仕事を奪っても新しい仕事が生まれてくるから心配ないという声もありますが、その新しい仕事もまたAIロボットによってあっというまに奪われてしまうことになるはずです。
もちろんそれでも新しい仕事は次々と生まれてくるでしょう。けれどここで忘れてならないのは、人が新しい仕事に就くには、新しい知識や技術などを習得する必要があり、それには生身の人間である以上、一定の学習・訓練期間が必要だということです。
一方、AIロボットが新しい知識や技術を習得するにはわずかな時間しかかかりません。多くの場合、外部からデータをメモリーにアップロードすれば済むことだからです。
ここにあるのは人間とAIロボットとの間の仕事をめぐるいたちごっこのような競争です。そして、それは生身の人間にとっては絶望的に不利な戦いであり、どうみても人間に勝ち目はありません。
かくして人間労働はAIロボットによって駆逐されることになるでしょう。
最後は資本としての貨幣です。
今、ビットコインなどのデジタルマネーが注目を集めています。これらはもともと中央銀行が独占的に支配する現在の一極集中型のマネーシステムへのアンチテーゼとして生まれたものです。
その出自からもわかるように、デジタルマネーは今のマネーシステムになんらかの影響を与え、場合によってはその独占的な地位を脅かすことになる可能性があります。
各国政府が、CBDC(中央銀行デジタル貨幣)の開発に躍起になっていることはその焦りの現れとみることもできます。
いずれにせよ、今のマネーシステムがなんらかの変化を余儀なくされることは間違いないでしょう。
以上、メタバース、AIロボット、デジタルマネーという破壊的技術の登場によって、資本主義における基本的な生産要素である土地、労働、資本(貨幣)がそれぞれ大きな影響を受けることをみてきました。
このことから、今後、資本主義というシステムが大きな変貌を迫られることは避けられないものと予想されます。