互酬原理から読み解くお金をめぐる政府と日銀の関係

親は子にたえず貸しを与えているが、子供は決して返済しない。返済してしまったら親子の縁が切れてしまうからだ。

ここにあるのは、貸し借りは友を失うではなく、友は貸し借りから生まれる、という贈与をめぐる互酬原理だ。

お金をめぐる政府と日銀との関係の背後にあるのもこの互酬原理ではなかろうか?

家族という団結力の源泉が、そうした貸し借りをもとにした互酬にあると見なせば、国家の団結力の源泉であるマネーもまた同じ原理から生まれるのは当然である。

すなわち、日銀と政府の関係というのは、返済を当然とする他人同士の貸し借りとは異なり、親子関係のようにそもそも返済を想定しない貸し借りであり、そこから生まれる切っても切れない(むしろ切ってはならない)関係といえるだろう。

互酬原理というと与えられたら返済するというイメージだが、ここにあるのは与えられてもあえて返済を拒むことによって関係性(団結力)が生まれるという力学である。これこそが無からお金が生まれるように見える現象の背後にある原理なのではなかろうか?