「それは確実に必要となるだろう」イーロン・マスクもベーシックインカム推進論者に

イーロン・マスク氏が、将来ベーシックインカムは確実に必要となると発言したという英文記事を見つけました。できるだけ多くの人に知ってもらいたいと思いましたので、翻訳してご紹介します。ちなみに一部翻訳が怪しい部分もありますので、あくまで参考程度にとどめてください。正確な意味を知りたい方は原文にあたってくださるようお願いします。

http://www.businessinsider.com/elon-musk-universal-basic-income-2017-2


ベーシックインカムに賭けるイーロン・マスク 「それは確実に必要となるだろう」

テクノロジー業界に増え続けるベーシックインカム推進論者のリストに、テスラ社のCEOであるイーロン・マスク氏が新たに加わった。

ユニバーサルベーシックインカムは、衣食住に関する基本的な生活費をまかなうに足るお金を市民に対して毎月支給する制度である。

「我々は最終的にユニバーサルベーシックインカムを導入せざるをえないだろう。それは確実に必要となるだろう」。

マスクはドバイで開催された国際会議の場で聴衆にそう語りかけた。

アメリカの労働者にとって次の20年はあまりかんばしいものではないと予想されている。今年3月、オバマ大統領は、2030年までに約50%の仕事がロボットに置き換わるという予測をもとに、迫りくる大失業時代に対して警告を発した。

最悪の場合、何百万人もの人が失業の憂き目にあうだろうーーマスクは国際会議の席でそう語った。

「ロボットができない仕事はどんどん減ってきている。誤解しないでほしいのだが、私自身がそうなることを望んでいるわけではない。必然的にそうなるだろうと予想しているのである」(マスク)。

Yコンビネーター(ベンチャーキャピタル)のサム・オルトマンやFacebookの創業者の一人、クリス・ヒューズらは、自動化によって社会の富は劇的に増大するだろうと主張している。

「自動化によって社会にはモノが満ちあふれるだろう。多くのものがきわめて安い価格で手に入れられるようになるだろう」(マスク)。

最低限の生活を保障するためお金を働いていない人に再分配することは理論的にも可能だ。ユニバーサルベーシックインカムの提唱者の多くは、それを実現するための財源として他の予算の削減や増税を主張する。

これに対して、同じくユニバーサルベーシックインカムの提唱者であるスコット・サンテン氏は、「この社会には、想像を絶する超大金持ちがいる。彼らに課税すればいい。そうすれば一般市民の所得税に課税しなくてもそのための財源は十分まかなえる」とハフィントンポストに寄稿している。

マスクはしかし、同時にそれがもたらす影響についても懸念している。

「もし働く必要がなくなったら、あなたの存在意義とはいったい何なのか、という疑問が湧き出てくるだろう。もしそうなったら、あなたは人生の意義を見失ってしまわないだろうか? 私はむしろこっちの方が難しい問題だと考えている」(マスク)。

マスクの懸念はもっともです。

たしかに短期的には悩む人が大勢でてくるでしょう。しかしそもそもベーシックインカムには仕事や人生というものに対する意識革命という側面があります。

人生とは何か? お金とは何か? 仕事とは? 私たちは近代資本主義が誕生してこの方、その根本的な疑問に向き合うことなく、ただひたすら金を稼ぐロボットとしてのみ存在してきました。

より多くお金を稼げるよう子供の頃から学校で組織的に訓練され、成人すると本格的な金儲けのための兵士として何十年も市場という名の戦場で酷使され、数十年のローンと引き換えにようやくちっぽけな持家が得られたと思ったら、やがて肉体的な老化とともに病気がしのびより、今度は医療システムからそれまで貯め込んだなけなしのお金を吸い上げられ、あげく再び無一文となって死んでいくーー。

そのようなロボットのような人生を、生まれて死ぬまでを「お金」に支配されながらも自らが奴隷であるという意識すらもたないゾンビのような生き方を、何世代にもわたって繰り返してきたのが私たち近代資本主義社会の住人の偽らざる姿です。

しかし、これがはたして人間らしい生き方といえるのでしょうか? 生きるに価する人生といえるのでしょうか?

ベーシックインカムは、こうしたいままでの社会のありかた、人生に対する考え方に根本的な疑問をつきつけます。それはある意味当然であり、また避けられないことです。しかし同時にそれだからこそ、ベーシックインカムがたんなる経済的な福祉政策にとどまらない、人類史的な社会革命であるといわれるゆえんでもあるのです。