不況とは現代の飢饉である
市場主義全盛の現代社会にあって、不況というのはかつての飢饉と同じものである。
もちろん、上の図にあるような飢え死にした死体が路傍に転がるような光景を現代の私たちが直接見ることはない。しかしそれぞれの家庭の奥深くに入り込めば、そこには当たらずとも遠からじの光景がいまもなお少なからず見られるということをゆめ忘れてはならないだろう。
現代の不況というのは、かつての飢饉と同じものである。それは民衆にとってその力が及ばないところで吹き荒れる自然災害である。いや正確には「自然」災害ではなく「市場」災害というべきかもしれない。
しかしいずれにせよ、われわれ一般民衆がそれを制御することができないという点では同じであろう。そのように認識すれば、不況を不可避的に生み出す現代社会なるものがその内に抱えこむ病理の深刻さとその対策への緊急性がよりいっそう鮮やかに浮かび上がってくるのではないだろうか。
上の図は享保の大飢饉を描いた絵だが、いまはさしずめ平成の大飢饉真っ最中と認識すべきだろう。