
お金の権力を弱めるとはどういう意味か?
ベーシックインカムの目的はお金の権力を弱めることにあると私は常々主張してきた。しかし、お金の権力を弱めるとはどういう意味なのかよくわからない人もいると思うのでここで改めて説明してみたい。
お金の権力が弱くなるというのは為替相場で日本円の価格が下がることではない。モノやサービスを提供する側が売るか売らないかを自分の裁量で決められることだ。
たとえばバブル時代、私は仕事をしばしば断った。単価が安い、または仕事が気に入らないという理由からだ。今思えば赤面ものではあるが、そんなはした金で俺は動かねえぞ、という江戸職人の気概だった。
また当時は就職活動も売り手市場であり、企業側はぜひ採用させて欲しいと学生に頭を下げていた時代である。もちろん学生も気に入らない企業には「おとといきやがれ」という態度だった。
しかしだからといってあの時代、日本円が弱くなったわけではない。むしろ米ドルを追い落とすほどの勢いだった。
このように、お金の権力を弱めるというのは、為替やインフレといったいわゆる貨幣現象とは直接的な関係はない。そうではなく、たんにわずかなお金と引き換えに自らの自由と尊厳を売り渡す必要がなくなることを意味するにすぎない。しかし、それはお金による支配からの解放を謳うベーシックインカム社会の土台を作る上で欠かせない前提条件であることも間違いないのである。
