一度交わした約束はいかなる権力者をも縛ることになる。その意味でブロックチェーンが「誰にも覆せない記録」を保持することは、将来AIが暴走することに対する防止策となりうるかもしれない。 しかしすでに暴走している「AI」がある…
「貸し借りは友を失う」という標語とともに貨幣経済は始まった。 負債を将来に残さない現金による即時決済こそが友人関係を壊さない妙案というわけだ。 もっともである。 しかしそれと同時に貨幣の使用は友情を結ぶことを不可能にも…
新大陸の征服者たちが原住民を搾取し、奴隷化したのは自らが借金漬けだったからだといわれる。 征服者たち自身がすでに強欲な金貸しの奴隷だったということだ。 そこにあったのはロンドンの投資家を起点に張り巡らされた世界的な負債の…
人間にとって何もしないでいることほど難しいことはない。 もしそうなったらただでもいいから働かせてくれと泣きついてくる人も出てくるだろう。 しかし、今や少数の人間とAIロボットがあれば必要最低限の物資は生産できるようになっ…
負債はこの世界につきものだ。負債をなくすことはできない。そもそも社会を成り立たせているのは負債なのだ。 一方、負債の力学は複雑系である。いつなんどき、どこにその矛先が向くかは誰にも予想できない。要するにそれは本人の責任と…
世界の宗教的教えはすべて負債という観念を基盤としている。あなたは神に対して負債を負っている。その負債をこの世で返済しなければならない、というわけだ。それがカルマや原罪といった言葉の真の意味である。 ただし例外がひとつだけ…
金を貸してやるからこれで博打を打ってこい。勝ったら分け前を寄越せ。ただし負けても金は返してもらうぞ。これが資本主義の本質的な光景だ。そこにあるのは「働かざるもの食うべからず」というより「博打を打たないものは奴隷になるか、…
ーーそもそもなぜ王国は臣民たちに納税を強いたのか?これはあまり問われることのない問いである。一見したところ答えは自明にみえるからだ。政府が税を要求するのは民衆の金銭を手に入れたいからに決まっている。だがもしアダム・スミス…
デヴィッド・グレーバーの『負債論 貨幣と暴力の5000年』の中に興味深い記述があった。 ーーイロコイ諸部族連邦の主要な経済制度がロングハウスであって、そこに物財のほとんどが貯蔵されては女性たちの評議会がそれらを分配してい…