志ある起業家へ、暗号通貨の次にいかが? 協同組合型仮想通貨システムBASIC

筆者は2000年代のはじめ、ある地方の町づくりプロジェクトにからんで、協同組合型地域通貨もしく財担保型地域通貨とでもいうべきBASICという地域通貨の仕組みを考案したことがあります。その詳細はこちらです。BASIC→
もし、今この記事を読んでいらっしゃる方で、ビットコインに代わる新しいオルタナティブ通貨を開発してみたいという方は、このBASICの仕組みを参考にされてみてはいかがでしょうか? 暗号通貨のように価値の担保があるのかないのかわからないものより、こちらの方がはるかに安定的だし実用的でもあると思うのですが‥。

ロシア革命後、危機に瀕したシベリア経済を救ったものにピコラエビッチ紙幣というものがあります。これはシベリアのニコラエフスクという街を中心に価値を失ったルーブル紙幣の代わりに使われた一種の地域通貨でしたが、BASICは基本的な部分においてこのピコラエビッチ紙幣と同じ仕組みです。

ピコラエヴィッチ紙幣裏面

以下、関連サイトにピコラエビッチ紙幣に関するわかりやすい説明がありましたので引用させていただきます。

当時のロシアでは、ハイパーインフレが続くなかで、ルーブル札を受け取るロシア人がいなくなりました。もちろん、日本円は無理。その結果、町では砂金や郵便切手が代わりに流通するようになり、さらにサケやマスなどとの物々交換も始まります。しかし、砂金は毎回、目方を量るので不便きわまりないし、魚は保存がきかない……。
《「すると次に受けても良いのは何だと思う? 島田商会の小切手だろう。しかし小切手を受け取れば次に銀行に持ち込んで現金に替えなければならない。その現金はロシア政府発行のルーブル札だ。こいつはどう考えても願い下げだ。
……つまり受けても良いのは島田商会の商品との交換を約束した手形、保証書の類となるな。いいかここが重要だ、島田商会の商品と交換がきくという点だ。町の人間はみんな島田商会で何らかの商品を購入する。漁民は先ずは漁網だろう、農民は鍬や鋤を買うかもしれない。それに女どもは小麦粉や食料品。つまりだな、この町の人々の生活はその多くを島田商会の食品と生活用品に頼っているわけだ。いずれも日本や満州から輸入されたものだ。だからロシア人はロシア政府のルーブル札より島田商会が発行した保証書を欲しがる。すなわち、そこでシマダ・ルーブル札の誕生となるわけだ」》
探検コムより引用)

上記にもあるように、ピコラエビッチ紙幣の価値を裏付けているのは島田商会の商品です。すなわちピコラエビッチ紙幣はいわゆる財担保型の地域通貨の一種です。その点、BASICも財担保型の地域通貨であり、基本的にこのピコラエビッチ紙幣と同じ仕組みです。
もっともピコラエビッチ紙幣の場合、担保となる商品は島田商会一社が提供していましたが、BASICの場合、複数の企業が提供しますので、もし違いをあげるとするならそこが最大の違いといえるでしょう。

この上場組合は当初、地域内で志を同じくする地元企業で結成することを想定していましたが、別に地域に縛られる必要はありません。提供できる商品にある程度のバラエティがあれば、全国規模はもちろんのこと、国をまたいだ独自のオルタナティブ通貨をつくることも可能です。
ちなみにこの仕組みは多くの先人たちのアイディアの上に私がほんのわずか手を加えて作っただけのものであり、到底「私が考案した」などといえるものではありません。もちろんこれに関して特許のようなものを持っているわけでもありません。
そういうわけですので志のある方はこの仕組みを自由にお使いくださってけっこうです。利用の仕方にも特段制限などはありません。そのままでも、あるいは独自の改良を加えてでも、お好きなようにお使いくださってかまいません。そしてその持てる能力を存分に発揮し、今の貨幣システムに一泡吹かせてやってくださることを希望します。

BASIC→