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お金は生産を阻害する

   

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生産物が増えれば社会はその分豊かになる。これは当然だ。

しかしそこにお金というものが介在すると妙なことになる。新しい生産物の量に比例してお金の量が増えないとその生産物が誰にも買えないという現象が起こるのだ。

さもなければデフレギャップが生じ、全般的な物価下落を引き起こすことになるだろう。

もちろん物価が低下すれば手持ちのお金の価値が上がり、それだけ購買力も増えることになる。そうなれば新しい生産物への購買力も生まれるはずだ。‥であれば、何も問題はないのではないか? いやある。他のものの価格がすべて低下する中、そこに唯一低下しないものがあることだ。低下しないものとは何か? 借金である。

銀行から借りたお金もこの物価下落に応じて減額されれば問題はない。しかし当然ながら、普通はそうはならない。借り手がどれほど困ろうが、当初の契約を楯にしかも利息を含めてきっちり返済してもらうのが銀行というところのやりかただからだ。

そのため銀行からお金を借りた生産者は物価下落率よりも高い値段で売らなければ利益が出ないことになる。しかし他の値段が下落している中、高い値段で売ることなどできるわけがない。

とはいえ売れなくては飯の食い上げだ。

こうなると生産者は最後の手段に出るほかなくなる。生産調整である。せっかくつくった生産物を泣く泣く廃棄せざるをえないのだ。こうして自ら需給バランスを調整せざるを得なくなるのだ。しかも生産調整をしたとしても借金の負担は増えこそすれ減ることはないのだ‥。これが豊作貧乏というものである。

お金が介在しない時代であれば豊作は無条件に豊かさをもたらしたのに、お金が介在する時代になると必ずしもそうはならず、場合によってはかえって貧乏になってしまうという矛盾がここにはある。

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そして、その矛盾のしわよせをもっとも受けてしまうのが生産者である。次にしわよせを受けるのが消費者である。消費者は普通、同時に生産者でもあるからだ。こうした中、唯一しわよせを受けず、どこ吹く風なのが銀行家である。

銀行家が憎むのはインフレだけである。インフレが発生しないようにさえすれば銀行家はいつでも利益が懐に転がり込んでくるからだ。

ここからわかるのは、社会の生産量を調整しているのはお金であるということである。お金は社会の生産を調整する蛇口なのだ。そしてその蛇口を支配しているのは銀行家である。すなわち社会の生産量をコントロールしているのは銀行家だということである。

もうひとつ、ここからわかるのは、お金は常に稀少でなければならないということである。お金は常に生産物に対して絶対的に少ない量でなければならない。もしそうでなければ銀行家の儲けが消えてしまうからだ。

本来であれば生産者こそが社会の主人であるべきであろう。社会に豊かさをもたらすのは生産者だからだ。

しかし、ここにあるのは銀行家に従属させられた生産者という構図である。

これは本末転倒というべきではないのか? 本来、銀行家というのは生産者の僕であるべきではないのか?

もしこの社会が生産至上主義を是とするのであるならばーー今現在実際そうであるわけだがーー、それならば、そこで主人となるべきなのは銀行家ではなく生産者ではないのか?

さらにいえば、ここには二重の欺瞞が横たわっている。現代の経済システムは表向き、生産至上主義を謳い、企業家こそがこの社会の主人公であるという風に装っている。しかしそれはたんなる目くらましでしかない。じつのところその本質は金融至上主義なのだ。生産者ではなく、金融資本家こそがこの社会の手綱を握っているのである。

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