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インドの闇と近代化への期待

   

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6人の男に暴行され、シンガポールで治療中だったインドの女子学生が死亡した。先日、世界中をかけめぐったこのニュースに衝撃を受けた人は多いことだろう。乗り合いバスに偽装した男たちに拉致され、集団で暴行を受けたあげく瀕死の重傷を負ったのだというから、なんともやりきれない事件だ。

菜食主義で禁欲的なヒンズー教徒のイメージからは意外に思えるが、インドではいま都市部と農村部を問わず多発する強姦事件が社会問題となっている。おりしも今回の事件と前後するようにレイプ被害にあったインド人少女が自殺したというニュースも飛び込んできた。

なぜインドで強姦が多発するのか? その背景にはさまざまな要因があるだろう。しかし、つきつめていえば社会のひずみであることは間違いない。

なかでも最大のひずみは何か。それはカースト制である。

いまさら説明するまでもないが、カースト制とはインド社会に何千年も前からいまも根づいている身分制度で、上から順にバラモンという僧侶階級、クシャトリアと呼ばれる王族階級、バイシャという商人階級、そしてシュードラと呼ばれる奴隷階級から構成されている。これだけでも十分差別的なのだが、さらにその下に不可触賤民と呼ばれるカースト外の層、いわゆる「非人」もいるというからなんとも深刻だ。

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じつは、裏で隠蔽されてしまうためあまり報道されないのだが、下位カーストに対する上位カーストによる理不尽な犯罪はいまも絶えないらしい。なかでも不可触民に対するそれは目を覆うものがある。たとえば、インド人の間には不可触民の娘たちに処女はいないという噂が流れている。なぜいないのかと聞くと、男たちが不可触民の娘を集団レイプするからだという。もちろん、被害者が不可触民だとわかると警察もなかなか動かない。そのため上位カーストの男たちはそれこそ好き放題勝手放題ができるのだという。

もちろん、警察に訴えた不可触民もいたらしい。けれど家ごと放火され焼き殺されるなどしていずれも悲惨な最期を迎えている。その結果、ほとんどが泣き寝入りなのだという。

とはいえ不可触民の側もやられっぱなしというわけではない。その象徴ともいうべき存在が山賊だ。え、この現代に山賊!?と驚くかもしれない。しかし、これもまた現代インドがみせるもうひとつの側面というべきであろう。インドの農村地帯のさらに奥地には実際いまも山賊や夜盗のたぐいが集団で生活しているのだ。

インドはいまIT立国を旗印に積極的に現代化政策を推し進めている。いまやITのメッカとされるチェンナイをはじめ、ニューデリーやムンバイなどの大都市は、高層ビルが建ち並び、一見したところ先進国とそう変わらない表情をみせる。しかし、いうまでもなくそうした表情は全体の一部にすぎない。

一見近代化したかにみえる都市部でさえ、一皮むけばそこには前近代的な遺習や悪弊が少なからず残っている。多発する強姦事件はそうした前近代的な社会の悪しき一面が浮かび上がったにすぎないともいえるだろう。今回の事件にしても、おそらく被害者が上位カーストの女性であったためたまたま表に出てきた事件にすぎず、その裏には報道もされず表にも出ない似たような事件が数多く存在しているはずだ。

しかし近代化という列車はいったんそれが動き出したが最後、その行く手を阻むものを容赦なく踏みつけ、排除するものである。それは、善かれ悪しかれ前近代的なものをあぶり出し、破壊しながら前進する巨大なローラーのようなものでもある。急速に進む近代化がインド社会に根づく前近代的な悪弊をどのように除去し、どれだけ民主的な社会を築きあげることができるのか、いま世界中が注目している。

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 - 経済システム, 雑感