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句集

   

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百年の老梟木魅と成り

笑声碧火巣中に起る

ご存知、いや知る人ぞ知る中唐の詩人・李賀の代表作『神絃曲』の一節です。

その芸術性にはもちろんおよぶべくもないのですが、以前自作した句がヘタクソながらもどこか李賀のそれを思わせる妖しい雰囲気が漂っているように思いましたので、お目汚しながらここにアップしておきます。

当時、いろいろと悩みが重なった時期でもあり、そうした懊悩が表現にも反映したのかもしれません。

 

花一輪埋蔵経を見るがごと

満月や魑魅(すだま)も通る獣道

仏蘭西の画家に見せたき紅葉かな

雨音や夜の向こうに蟇の鳴く

雪原に突きささりしかとひしゃく星

雪山に紅を移して西日落つ

雪山に横たふ影や春の雲

三界を消しさるがごと雪の降る

青山のうしろに白き峰のあり

一人いて頬暖かき西日かな

青畳匂ひほのかに草原の夢

満開を待ちかねし人や北の春

春寒し一人粧う梅の花

春陽やしだれ桜を日傘にし

紅白の桜重なる並木道

月影を映して黒き水鏡

水鏡うつし世逆さに天深き

蒙古風吹いて天下は砂の星

春雷やおびえし犬の吠ゆる声

遠雷の光微かに西の空

雷鳴をつつみて厚し墨の雲

軒雫ポタリとひとつ雨上がる

ジェット機の轟音低し曇り空

朝焼けに灯るがごとく桜花

雨上がりまぶしき朝を洗い出す

森黒くこうもり出でて月おぼろ

雪明り子の待つ家へ急ぐ道

雪白し闇夜に沈む無名村

雨上がり洗うがごとく星月夜

うっとりと地に雪白し星月夜

常夜燈村を眠らす雪しんしん

雪どけや秘めし事ども顕わるる

雪道やよぎるトラック壁のごと

何思うバス待つ男の薄笑い

アイスバーン暴走族も処女のごと

西陽消え街は光の川となる

煩悶の過ぎて春の陽いとまぶし

冬の朝つららの向こうに空光る

新蕎麦や山陵遥かに韃靼国

雪こぎや地獄の穴に足とられ

どしゃぶりや天にも恥じずわが道を行く

ワイパーの前にはかなきみぞれかな

みちのくの夕日の響宴値千金

醒めやらぬ背中も丸し朝ごたつ

朝凪にひとり揺れいし花八手

雪の里鳥が切り取る絵画かな

朝寒や庭の景色も凍りおり

曇天の向こうにあるか天の川

お湯温し水中花となるわが身かな

障子戸に牡丹雪の音を聞く

みちのくの急行列車に山開く

冬木立雪をしきつめ眠るごと

雪山にダイヤのごとき朝日かな

冬木立つ白き野原に轍あり

かささぎや白き野原の枯木かな

白月のあだたら山を見下ろせり

陽の出でて山野をあたため直しおり

低く垂る冬雲町を呑まんとす

冬晴れや眼さやけき残り雪

山里を包む冬霧神の息

雪を負ひし家々人生を負ひ

雲走る空の向こうに宇宙のあり

野の果てに凹凸ありて山なりき

みちのくの赤光濃ゆし枯野かな

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ハルピンの空真青なる寒さかな

冷え冷えと暮れゆく盆地に星ひとつ

夜汽車はや流れる闇に家灯あり

子を叱る午後の光のまぶしかり

叱られて泣かぬ子の肩ふるえおり

立春や天下の計わが方寸にあり

雪解水庭の八手を打ちており

乙女髪なびくや風に光あり

髪揺れし乙女歩くや五月風

雪晴れや飛行機雲を引っぱれり

室咲きや寒のスチーム窓曇る

天の川汲むや真夏のひしゃく星

秋高く黄塵もなき遼墓かな

雪晴れに白鎧々と月の山

冬晴れに流星のごと飛行雲

鄙で求めし饅頭茶色に乾きおり

長々と夜霧貫く列車の灯

山深き落人部落に月おぼろ

逢引やオリオン森を見下ろせり

雪晴れや影くっきりと山のひだ

残り雪残党のごとく隠れおり

日本晴れ冬を越したり柿のへた

薄野の白く広がる月光浄土

笹の葉にさやさや月の音を聞く

哨煙や倒るる人に星高し

月光の棒の如くに我に降る

山陵の星を侵して闇深く

かすみ草星の如くに活けてあり

冬の朝顔までかぶる布団かな

日の暮れて月の光のいや増せり

大連を父の目で見る旅情かな

北満州露人の家は黄色かり

冬晴れや雲を平らに圧したり

陽を聚む枯れ野は春をはらみたり

春光に子の幻影見たり百子沢

里の灯や遠き近きに狐火のごと

春の陽のこぼるるばかりに山の里

ぎしぎしと海も鳴りたり流氷船

目のさえて雨を待たるる長夜かな

鉄線花 昨日の雨を含みおり

寒き青残して冬の暮れしかな

星ひとつ湯煙り湯面を走る闇

懊悩の萌えいずるがごと春の山

水田に千波起こして風薫る

ひたひたと夏の満ちるや田植え水

こんこんと春呼び覚ます雪解水

みちのくの水田に映る雪の山

雪山を眺むる春の露天風呂

世にはなお悩める人あり青嵐

しめやかに紫陽花濡らす坊の雨

葉桜に四十路の我を重ねけり

眠られぬ夜の暗さの果てしなき

人妻とひとつ屋根なり窓の雪

無雑作に幼子摘むや鉄線花

なまめかき月を眺めつフォーレ聴く

並木道銀杏が描く油彩かな

満天に星降る夜の孤独かな

朧夜や四十路の恋もありぬべし

初雪や遠き山のみ粧えり

春夏日暑さを払う田植え水

野分けの夕 かの旅人は雲を踏み

秋深し 無聊をよそに星廻る

キイを打つ鳥さえ鳴かぬ秋の午後

風もなき夜更けに心静まらず

月天心 呼べど答えぬ 猫の夢

赤々と日輪迫る月の山

香薫きて仏と座る夜長哉

猫の耳宇宙の声を聴いている

この家の主はわしだと猫のひげ

野良猫の家猫恨む夜寒哉

月黒く 草葉の陰に猫の鳴く

月を追う烏の家路は雲深し

野良猫のどこで寝るらんみぞれ雨

山鳴るや経を読む影ゆらゆらと

長雨を恨むがごとく女郎花

曇天に打ちひしがれて鬱の朝

山紅葉蝦夷より望む韃靼国

千山に道士をとえど影もなし ただ風吹きて松の樹の吠ゆ

長白山のぼれば眼下の大満州 ひとつやりたや立ちしょんべん

月白し聖夜の楽ぞ聞こえまし 星の帳のあいまより

世紀末濁世にまみる我のなか 完全無欠の真人のおり

見あぐれば星天蓋に凍えおり 明日はみぞれか初雪か

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 - 雑感