イタリアで二重通貨案が浮上 銀行通貨から国家通貨への転換を促す歴史的な一歩になるか

アングル:伊野党が二重通貨案、ユーロ離脱への第1歩か(ロイター)

イタリアでユーロ離脱を念頭に置いた二重通貨制度が議論されている。

記事にもあるが、二重通貨制度は過去、世界各地で前例があり、必ずしも混乱をもたらすものではない。日本国内でも一般的な買い物ポイントや商品券なども一種の併行通貨であり、使い方によってはむしろ経済を活性化させる効果もある。

実際イタリアでは、すでにユーロ以外の「通貨」が流通しているという。

「イタリアの二重通貨支持者らは、同国では雇用主が発行する食事・食料品券が数百万人に利用され、成功を収めていると指摘する」。

新通貨導入を主張する政党のひとつ北部同盟は、短期財務証券の名前にちなんだ「ミニBOT」という無利子債券を財務省が発行し、それを税還付など政府から個人・企業への支払いに充てる案を提示している。

「ミニBOTはその後、納税のほか、例えば国営石油企業ENIが経営するガソリンスタンドでの支払いに使えるようになる」。

一方、反体制派政党の5つ星運動は、経済学教授ジェンナロ・ゼッツァ氏が提唱する「財政通貨」を支持している。

「これは当初、電子通貨として発行されるが、約1年後には紙幣の発行も可能になる。国が公務員への給料支払いや投資に使えるほか、ミニBOTと同じく市民も納税に使える」。

詳細は不明だが記事を読むかぎり新しく発行される通貨は、従来型の銀行通貨ではなく国家通貨に近いもののように思われる。

ビットコインのことも含めて考えると、詐欺的な銀行通貨への反発から始まった通貨大乱時代の幕開けを思わせるような興味深い動きである。